渡部遼人(ちかもとのすがた)になったら上位打線バカ強い?

リーグ４連覇を目指すオリックスでは、プロ３年目の渡部遼人（はると）外野手（２４）が殻を破りそうな気配だ。１軍で通算４８試合に出場し、５８打数８安打の打率１割３分８厘。「当てたり、ファウルにしたり、内野の間を抜ければヒット。正直、それがギリギリだったので…」と潔くパワー不足を認めた。

　外野守備、スピード、走塁は一級品。「打撃で何かを変えないと、今のままでは試合に出られない」と逆にはっきりとしている課題をつぶすため、阪神・近本の徹底研究を始めた。左投げ左打ちの外野手で、身長１７１センチも同じ。昨年の日本シリーズでは、熱心に打撃練習を見つめた。

　「ライナーをずっと飛ばしていた。いろんな人に話を聞いても『自分の追い求める（打撃の）形がある』と。そういう打者になりたいと思った」。全く新しい取り組みは、バットのヘッドを投手方向へ入れる打撃フォームの導入。シリーズ終了後の高知キャンプから始めた。試行錯誤し、体に覚え込ませようとする姿を見守ったのは中嶋監督。マンツーマンでも指導し「今の（フォームの）方が逆方向に強い打球が出ている」と背中を押してくれた。

　１２月のある日、大阪・舞洲の室内でマシン相手に打ち込んでいた。見た感じはほぼ、近本。「ガラッと変わりました。いい感じの兆しがあるし、これを続けていきたい」と声を弾ませた。「近本さんのような１番がいたら嫌だと思う。僕にとって、めちゃくちゃ理想の打者です」。パ王者の外野陣は現時点で広島からＦＡ移籍した西川の左翼が確定的で、中川圭や杉本らも実績十分。形と結果で完コピに成功すれば、目標の「１番・中堅」が待っている。（長田　亨）